毎年、学生が春先に病院実習を体験し、そこで見聞きした問題点をモチベーションにしてシステムを開発する授業があります。定番課題は診察待ち時間を教えてくれるアプリです。今年もいくつかありました。システムはMicrosoft AccessやHTML、PHP等を使って開発するのですが、いわゆるCRUDシステムで、当然のことながら実稼働している病院情報システムと連携などしていません。
診察待ち時間を教えてくれるアプリがあると本当に便利だろうなと思います。前の投稿で紹介したあるベンダーのアプリにはこの機能がありますが、そのベンダーが開発・提供するシステムと連携しているので待ち時間を出すなんてわけないことです。
もしも病院情報システムと連携しなくてもある程度の診察待ち時間を予測できるアプリがあったら便利だろうなと思います。連携しないということは、その病院や診療所が使っているシステムに依存しないわけですからどの病院でも利用できるし、システム連携に要するコストが不要です(このコストにはシステム開発に要する費用以外にセキュリティのリスクも含まれます)。
冒頭で紹介した学生が開発するシステムには待ち時間を予測する推論部分がほぼ欠如しています。せめて待ち行列理論でも考慮してくれればもっともらしいのですが、それすら考慮しないのがほとんどです。
病院システムと連携せず、ユーザが取得し得る情報だけでどれくらい正確に診察待ち時間を予測できるでしょうか。これだけでも立派な研究テーマになりそうです。
診察待ち時間に影響を与える要因には何があるでしょうか。到着時刻、受付番号、曜日、受診科、天候、・・・。もし、これらのデータが、実際の待ち時間とともに大量に利用可能であれば、教師あり学習で回帰モデルを構築すれば予測できるかもしれません。しかし、問題はどうやってそのような大量の訓練用データを集めるかです。
それではいったん診察待ち時間の予測は脇に置いて、何か別の待ち時間予測問題はないでしょうか。大量に訓練用データが集まりそうな。実験(実測)でデータを集めてもいいけれどできればネットに転がっているようなデータを利用できたらいろいろ試せそうです。
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