2020年10月20日火曜日

輪読【ギグエコノミーの実態】

25日4限目は輪読をしました。

畔蒜和希:マッチング型ベビーシッターサービスにみるギグエコノミーの実態、E-journal GEO 2020Vol.15(2), 2020年7月3日受付 2020年9月3日受理  (2020.10.20 確認)  

近年、オンラインプラトップフォームを通じて単発の仕事を請け負う「ギグエコノミー」が注目されている。その一例であるマッチング型ベビーシッターサービスに着目し、ギグエコノミーの実態における一端を明らかにした。マッチング型ベビーシッターサービスでは利用者が希望する日時を指定した上でシッターを選択し、インターネット上で直接契約を交わす。サービス利用者の多くは共働き世帯であり、保育所への送迎や子供の病気など短時間や突発的なニーズによる利用が多く、施設型の保育では供給できないサービスの領域を埋め合わせていた。シッターは保育士資格や主婦経験を持つ者の参入が多く、資格や育児経験は利用者から信用を担保する機能を果たしていた。また、生活時間の隙間を活用して保育に従事する柔軟な働き方が実現する反面、トラブルの対応やギグワーカーへの補償など、プラットフォーマーの役割や責任をめぐる課題も明らかになった。

【コメント】

この論文に出てくるベビーシッターマッチングサービスにはキッズラインキズナシッターなどがある。ほかにもスマートシッターや海外ではCare.comなどもある。キズナラインではトップ画面に顔写真付きで時給や経歴がわかるシッターの一覧を見ることができる。

待機児童問題が叫ばれている中、こういったサービスの需要は大きいのだろうなと思った。たまたまその日の朝刊に保育士不足で保育園が定員割れしているという記事を読んだ。箱モノとしての保育園が増えても肝心の保育士がいなくて待機児童を受け入れられないという問題である。

ただ、最近のUberイーツなどのギグサービスでも見られるように、問題が生じたときの責任問題が明確ではない。特に赤ちゃんや子供を預けるとなると、何かあった場合、だれが責任を取るのかと考えると、なかなか預ける気にはなれないだろうなと感じた。海外ではオペアといってホームステイして子供の保育や家事をする見返りに報酬をもらって留学する制度があるそうだが、日本では家政婦さんを雇うのは富裕層といった認識が強く、こういったサービスが受け入れられる下地が整っていないのではといったことも議論した。

今回輪読した論文が今後の研究にどう役立つか話し合ったが、我々にマッチングサービスは興せないので直接役立ちそうな知見は得られなかったが、情報共有やコミュニケーションツールとしてのアプリ開発が有望だと思った(あの市は子どもの医療費が安いといった情報の提供など)。

情報を欲しがっている人と情報を持っている人の仲立ち(マッチング)をするアプリが現実的だと思った。



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