13日4限目は輪読をしました。
奥村 万寿美, 照井 眞紀子, 横田 正恵, 長谷川 聡, 吉田 友敬:カメラ付携帯電話を利用した栄養管理システムの評価. 名古屋文理大学紀要, 6(2006), 85-91, 2006. https://www.jstage.jst.go.jp/article/nbukiyou/6/0/6_KJ00004687480/_pdf/-char/ja, (2020.10.13 確認)
【概要】
目的は、在宅からの食事の画像転送による食事評価と栄養指導を行い、栄養状態の改善、生活機能の維持、QOLの向上に繋がる予防サービスを地域との関連で行うことです。
撮影・転送使用する携帯付きカメラは中高年者を対象にしていることによって、操作が簡単で解像度が高い携帯電話を使用しています。
2.1のシステムの概要についてです。対象者がカメラ付き携帯電話を用いて食事を撮影します。その写真をメールに添付して、栄養管理システムに送信します。その写真はデータベースに蓄積され管理栄養士が栄養管理システムを使用し、送られてきた画像からメニューや食材、分量を推定し入力することによって、摂取栄養価が算出されます。その計算結果はデータベースに蓄積し色々なパラメータをしていすることで再度栄養価計算をして、その指示に従った栄養価や栄養バランスが分析評価されます。食事の改善点を栄養士がフィードバックし対象者にプリントアウトし送付しています。
2.2栄養診断レポートについてです。栄養摂取状況表の栄養成分項目は基本的な栄養素である、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、鉄、カルシウムなどです。日本食品標準成分表に基づいて計算されています。栄養知識が乏しい人でもわかりやすいように肥満度の診断をイラストで表示しています。また、栄養摂取状況表は栄養素群ごとに4色に分け表示することで見やすくしてあります。
3方法についてです。被験者は19~20歳の大学2年生2人で、カメラ付き携帯電話を貸し、任意の4日間の全ての食事を撮影し、メールで送信するという流れです。その時に画像の中に長さ約20センチの割り箸を置くことを義務付けています。送信された画像に対して、熟練した管理栄養士が食事のメニューと食材、分量を推定し開発した栄養診断ソフトで評価します。検討目的は、栄養診断・評価ソフトの内容、食事の実写と画像の解像度、画像による読み取り技術と解析技術、管理栄養士の養成校としての教育課題の4つです。
次に4.結果と考察についてです。メニュー、食材、分量を推定するのに容易なものと困難なものが図4と5です。食材の推定が困難であり課題で、馴染みの深いメニューは材料の推定が簡単であることがわかっています。調味について、対象者の味の好みがあるため味の具体的な判断が付きにくく、正確な評価にかけることが課題であるとしています。
ITを利用した食事摂取量調査を解析する上での教育課題ですが、視覚よりとらえた料理がどのようなメニューなのか、使われている食材はなんなのか、分量はどのくらいなのか、調理方法・調味料はなんなのか分析技術が必要です。そのためにメニューを数多く知識として備えていることが必要で、調理方法などの理解も必要です。そのためには、管理栄養士が知識や技術をみにつけることが必要で、能力向上が重要な課題になっています。
論文を作成するにあたって、どのような点に気をつければいいのか、どうすれば読む人に分かりやすく伝わるかなどを話し合いました。
【コメント】
2006年の論文です。まだ、スマホも第三次AIブームも始まっていなかった年の論文です。携帯電話で食事の写真を送って管理栄養士が栄養価計算をしてレポートを返すという手法です。また、今から10年くらい前の論文ですが、写真からピクセル情報などの特徴量を抽出して重回帰分析という統計学的手法を用いて栄養価計算をする試みもありました(食事画像からのカロリー推定 -複数の低次特徴に基づく辞書照合と重回帰分析によるアプローチ-)。今ではAIが栄養価計算をする時代になり、「カロミル」「FoodLog」などのスマホアプリも公開されています。時代の変遷と技術の進歩を考えさせられる論文でした。
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